今回は長期化する老後に備えた資産形成方法としてオススメしたいiDeCoについて解説していきたいと思います。
みなさん老後の準備は備えていますか?
公的年金だけでゆとりある老後を過ごしていけるのでしょうか?
結論から言うと、大半の人は公的年金のみで老後に夫婦でゆとりある生活を送るのは、残念ながら難しいという結果になります。
総務省の「家計調査」によると、2016年の二人以上の高齢夫婦(世帯主が60歳以上の無職世帯)の消費支出は、月 23万7691円です。
一方、厚生労働省年金局「平成27年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、現時点で老齢年金の受給権を持つ人の平均年金月額は、国民年金が5万5157円、厚生年金が14万5305円で、消費支出を下回っています。
政府も公的年金だけでは安定的な生活を保証できるとは思っておらず、
「優遇措置をするから自分たちでも老後の資金を準備しておいてね!」
とこんなノリで始まった制度がiDeCoだと思います。
iDeCoは税制面で優遇措置を受けられることから、長期的な資産形成方法としては是非利用しておきたい制度です。
iDeCoとは?
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金の制度です。この制度への加入は任意で、ご自分で申し込み、ご自分で掛金を拠出し、自らが運用方法を選び、掛金とその運用益との合計額をもとに給付を受けることができます。また、掛金、運用益、そして給付を受け取る時には、税制上の優遇措置が講じられています。国民年金や厚生年金と組み合わせることで、より豊かな老後生活を送るための資産形成方法のひとつとしてご活用ください。
iDeCoは任意の私的年金制度のことで、毎月設定した金額を投資していき、老後に積み立てた資産を利用できる制度です。
私的年金なので加入は個人の自由です。
積み立てた資産は60歳になるまで取り崩すことはできませんが、大きく3つの税制優遇を受けることができるため、老後資金をしっかり確保したいと思っている方には是非利用してもらいたい制度です。
iDeCoの3つの節税メリット
iDeCoに加入すると大きく3つの節税メリットを受けることができます。
- 掛け金が全額所得控除
- 運用益を非課税で再投資
- 受け取るときに控除を受けられる
掛け金が全額所得控除
iDeCoは毎月一定額を積み立てていきますが、その積立額の全額が全て所得控除の対象となるため、「住民税」や「所得税」が減額されます。
- 会社員:企業年金がない
- 現在の年齢:30歳
- 現在の年収:500万円
- 毎月の掛金:23,000円(上限)
結果は累計で「1,656,000円」分の税金が控除されます。
積立(拠出)金額の総額は23,000円×12ヶ月×30年で8,280,000円となりますので、控除金額を運用益と読み替えた場合、約20%の運用益を出したことと同然と言えます。
投資の世界では5%の運用益を出せれば御の字と言われていますので、確実に約20%の利益を享受できるということがいかにすごいかと言うことが分かります。
運用益を非課税で再投資
通常、株の取引で得た売却益は20.315%の税金が掛かりますが、iDeCoで得た運用益は税金が一切掛かりません。
- 会社員:企業年金がない
- 現在の年齢:30歳
- 現在の年収:500万円
- 毎月の掛金:23,000円(上限)
上記の例に加え、5%の運用利回りを出したと想定すると60歳到達時に得られる運用利益は10,473,236円となり、投資額を軽く超えます。
投資額と運用益を合わせると18,753,236円となります。
老後2,000万円問題もなんとかクリアできそうです。
通常取引であれば10,473,236円に対して税金が2,127,638円発生しますが、この分は非課税になります。
受け取るときに控除を受けることができる
「iDeCo」は年金か一時金で、受取方法を選択することができます(金融機関によっては、年金と一時金を併用することもできます)。
年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」の対象となります。
ざっくり説明すると年金や一時金を受け取る際も所得税が掛かります、その所得から控除が入り、課税所得が減額されます。
そのため、税負担が減り、実質の受取金額が増えると言うわけです。
iDeCoのデメリット
iDeCoのデメリットとしては以下の3つが挙げられます。
- 原則60歳まで運用資金は引き出せない
- 運用に手数料がかかる
- 元本保証はない
原則60歳まで運用資金は引き出せない
一度積み立ててしまうと60歳になるまで、運用資金を引き出すことはできません。
子供の学費やマイホームの購入などで大きな資金を引き出すライフイベントがあった際はiDeCoからの現金化は不可能なため、注意が必要です。
掛金の変更は年1回に1回変更可能なので、ご自身の生活状況に応じて微調整を行う程度はできます。
運用に手数料がかかる
主にiDeCoに加入する際の手数料とiDeCoを維持管理していく手数料が発生します。
●加入時の手数料
支払先 | 手数料 |
---|---|
国民年金基金連合会 | 2,829円(各社共通) |
●維持管理の手数料(掛金を拠出している場合)
支払先 | 手数料 |
---|---|
国民年金基金連合会 | 105円/月(各社共通) |
証券会社(運営管理手数料) | 証券会社による(無料が多い) |
信託銀行 | 66円/月 |
合計 | 171円/月 |
30年間運用を続けた場合イニシャルコストで2,829円、ランニングコストで61,560円、合計64,389円のコストが掛かります。
加えて運用する投資信託の信託報酬が発生します。
結果的にはコストを上回る節税効果を得ることができる(先ほどの例でいくと1,674,000円)ので、あまり気にする必要はありません。
元本保証がない
iDeCoは基本的には投資です。
当然投資先の投資信託がうまく伸びていかないと元本割れのリスクが発生します。
元本保証の預金や保険の商品もありますが、利率がかなり低いため、運用手数料が引かれた資産自体は目減りしてしまうので注意しましょう(税金の還付も含めるとプラスになりますが)。
毎年約2,000円の運用コストが発生するのでせめて1%の運用益を出せる商品を検討した方が良いです。
5%くらいの運用益を目指したい方は米国インデックスや全世界インデックスをオススメしています。
三菱UFJ国際投信が提供している「eMaxisSlimシリーズ」の投資信託はどても長期投資に向いたインデックス型の投資信託でオススメできます。
米国インデックスの場合はeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
全世界インデックスの場合はeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を選択すると良いでしょう。
インデックス投資のメリットについて、以下の記事を参考までにどうぞ
【おすすめ投資信託】 迷ったらS&P500連動の投資信託にすべし!
投資先を選ぶ上で注意していただきたいのは、アクティブ型の投資信託は絶対に選んではいけません。
信託報酬が1%/年を超えるアクティブファンドは基本ぼったくりの投資信託と思い込んでもらって構いません。
以下の2記事でアクティブファンドを避けたほうがいい理由について解説しています。
NISA?つみたてNISA? インデックス投資に向いた制度はどっち?
証券会社はどこを選べば良いか?
基本的にはどこの証券会社を選んでもiDeCoに関しては手数料に差はありません。
証券会社によって取り扱いの投資信託の数が違ったりする程度です。
SBI証券が豊富に商品をラインナップしている印象を受けますが、すでに証券口座を開設している方は、開設済みの証券会社でiDeCoの申し込みをした方がスムーズです。
まとめ
サラリーマン世帯の方々は所得税や住民税は源泉徴収されているのであまり気にしていない方も多いかと思いますが、知らないうちに毎月結構な税金が引かれてしまっています。
iDeCoをうまく活用することで安定的に老後の資金を積み立てていくとともに、所得税控除でかなりの節税を行うことが可能です。
毎月貯金に回してた余裕資金のある方はiDeCoを利用した方が絶大な節税効果が得られます。
ぜひこの機会にiDeCoを始めましょう!
ではまた!
2020/1/19
mozu