
給料やボーナスの使わない分は貯金していた方が安心。
老後に不自由なく過ごすためには2000万円を持っておいた方がいいって言われているしね。
本当にその考えで大丈夫ですか?
今回は給与を貯蓄に回すべきか、株式に回すべきかについて解説していきたいと思います。
老後2000万円問題
みなさんも一度は耳にしたことのあるフレーズではないでしょうか。
金融庁が2019年6月に公表した報告書「高齢社会における資産形成・管理」、いわゆる「老後2000万円報告書」が世間の注目を集めてます。
この報告書は、年金についてどうこう言うものではなくて、「人生100年時代」を迎えるにあたり、資産の運用などにより資産寿命を伸ばすことの重要性を訴えたものです。
出展:総務省家計調査(2017)より
この報告書では高齢夫婦無職世帯が平均的な生活を維持していくためには、毎月25万円必要になるのに対し、社会保険給付(年金)が20万円程度しかないので、平均で5万円足りなくなるというもの。
令和46年の平均寿命は95歳と推定されています。
仮に95歳まで生きると仮定すると、30年間で約2,000万円の金融資産の取り崩しが必要という、単純なものですね。
この報告書の本質は政府から
「年金だけでは政府は老後のゆとりある全生活費を保証出来ないから、各自でちゃんと資産形成はやっておいてね!」
というメッセージを送るためだったのですが、メディアからは「社会保障で賄えないなんて無責任だ!」なんて批判を浴びる的になってしまいました。
でもぶっちゃけ少子高齢化の進行によって、社会保障費が重くなっていくことは数十年前から目に見えたことで、
一概に日本政府だけ悪だとする論調は筋違いに感じてしまいます。
社会構造の変化、時代の変化にアンテナを張って対策をしてこなかった我々にも責任の一部はあると思います。
もうすでに退職している人からみれば、この報告書はショッキングなものですが、
現役世代の方であれば、老後の準備のための猶予をもらっています。
今後も社会保障は無くなるわけではありませんが、徐々に微妙になっていくことは間違いありません。
そのため、一人一人の自助努力が必要になってくるわけです。
国も(つみたて)NISAやiDeCoなど、各個人が将来の資産形成しやすくするため政策に舵を切っています。退職してからそんな話聞いていなかった、では今はもう通らないのです。
では現役世代は何をしていけばいいのか。
それは若いうちからの給与を貯蓄ではなく資産形成(株式や債券への投資)に回していくことをおすすめします。
何故貯金ではなく、株式なのかという点を解説していきます。
給与を株や債券に充てるべき理由
預金利息はほぼゼロ、物価上昇を考えるとむしろ価値は減っている事実
みなさんの貯金は日々目減りしていっていることをご存知ですか?

そんなことないよ。
むしろ銀行に預けておけばわずかながら金利ももらえるよ!
確かに銀行に預けている100万円は100万円なのですが、40年後の100万円の価値は今よりも減ってしまいます。
日銀は物価上昇率2%を目標に経済政策を行っています(うまくいっていませんが)。
つまり100万円の価値がある商品は1年後102万円にしたいと思っています。
実際の物価上昇率は0.7%にとどまっていますが、仮に物価上昇率0.7%が今後40年間続くと仮定します。
すると現在100円で買える鉛筆が40年後は132円必要になります。
現在の大手銀行預金金利は0.01%なので、100円を銀行に40年間預けた場合は100.4円になります。
そのため、40年後に同じ鉛筆を購入するためにはあと32円追加でお金が必要になるのです。
現在、日本は超低金利で預金利率はほぼゼロ。
物価だけが上昇しているので、実質の資産価値は減っているのです。
金額が大きくなるとインパクトも大きいです。
2000万円預金をしていたとすると40年後は1364万円まで価値が減ってしまいます。
極端な例をあげましたが、銀行にお金を入れたままにしておくと、じわじわと価値が目減りしていくということを覚えておくと良いです。
こうした物価上昇(インフレ)リスクを回避するためにも株式投資は良い手段となります。
運用期間が長ければ長いほど着実なリターンを得ることができる


おっしゃる通り、株などの金融資産は元本割れするリスクはあります。
ただそのリスクを低減させる方法はあります。
以下の図はインデックス投資のバイブル本「ウォール街のランダムウォーカー」の中で、
1950年から2009年までの期間で1〜25年の期間をとった場合のリターンを表したものです。
この図が示すのは株式を長く保有していけばいくほど、リターン(損失)の幅が収束していくということです。
保有期間が1年の場合はリスクもリターンもかなり大きいですが、期間が長くなるにつれてどんどん収束していき、
15年を超えてくるとリターンしか得られないという面白い結果が出ています。
短期的には波はありますが、長期的に見れば人口が増え、人類が反映していく限りはこの傾向は続いていくと考えていいでしょう。
配当金は給与の伸びよりも大きい
日本経済新聞の記事によると2018年度の上場企業の社員の年収の伸びは年率1%だったのに対し、配当金は年率12%の伸びたとのこと。
- 給料の伸び:年率1%
- 配当金の伸び:年率12%
つまり今、企業は従業員よりも株主に対して還元しようという傾向がみられます。
年率12%というと、配当金はこの6年で配当金は2倍になったということです。
という声もあるかもしれませんが、そう思うのであれば株を購入して配当金をもらう立場になればいいのです。
投資開始時期が早ければ早いほど、複利の効果を得られる
毎月1万円ずつ株を買って1年後に12万円分の株を保有しているとしましょう。
配当利回りが3%と仮定すると、もらえる配当金の額は3,600円です。
得られた3,600円を再投資する、それを40年間繰り返していくと、当初12万円だった試算は39万円強と約3.25倍にも増加します。
アインシュタインが人類最大の発明を「複利効果」といったように、時間が経過するにつれて得られる複利効果は絶大なのです。
積立投資でコツコツ資産形成していこう
サラリーマン場合は給料が出るたびに金額を決めて毎月投資をしていきましょう。

という方も最初から決めつけず、通信費や電気代などの日々の支出を下げる努力をしてみましょう。
何も毎日カップラーメンを食べろと言っているわけではありません。
格安simや楽天経済圏に切り替えれば生活水準は維持したまま、1万円/月の費用を削減することが容易に可能です。
資産形成を始める前に生活防衛資金は用意しよう

とはいっても、投資は絶対に余裕資金で行ってください。
たまに、有り金全部株に突っ込む方もいますが、株価暴落時に損切・狼狽売りなど誤った判断をしかねません。株式投資は長期保有をしてこその威力を発揮します。
誤った判断を犯さないように最低限の現金は確保しておきましょう
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【投資入門】生活防衛資金はいくら必要?貯め方も解説します
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上の記事でも解説していますが、最低6ヶ月分の必要生活費は現金として持っておくと安心です。
ドルコスト平均法でコツコツ積立用
実際に給料や賞与又は預金から投資をしようとするときに一気にお金を突っ込まないようにしてください。
出来れば毎日定額で購入してくことをおすすめします。
株式市場は日々目まぐるしく変化しています。
リーマンショックやコロナショックのようにほんの数週間で株価が40%下落するなんてこともあり得ます。
毎日(毎週or毎月)定額購入をしていれば、投資時期を分散することができ、大暴落前に高値掴みしてしまうリスクを回避することが可能です。
インデックス投資か高配当株投資かは個人の好みで
中長期で資産形成をしていく方法としてインデックス投資か高配当株投資かどちらかを選択することになるでしょう。
それぞれの特徴については
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インデックス投資と高配当株投資は結局どっちがいいの?
続きを見る
という記事で詳しく解説していますが、投資初心者の方はインデックス投資をおすすめしています。
理由は税金の繰り延べができ、資産を最大化する方法として実証されている投資手法だからです。
まとめ
今回は、給与や賞与を貯蓄ではなく株式へ投資すべきということついて述べてきました。
残念ですが国に対して文句を言っても世の中は変わりません。
今のうちから各自が自分の人生を守っていく力が問われています。
行動を起こさない限りはこの先何も変わらないので、先ずは少額からでもいいので一歩を踏み出してみましょう。
今回は以上です。
2020/3/18
mozu