今回は、ジェレミー・シーゲルの歴史的名著である「株式投資の未来」をもとに、シーゲル流のポートフォリオを日本人投資家が作るとしたら?
ということについて解説していきたいと思います。
では早速いってみましょう!
ジェレミー・シーゲルとは?
ジェレミー・シーゲルは、ペンシルバニア大学ウォートンのファイナンスの教授。
「証券投資の大家」と呼ばれ、ウォーレン・バフェットと並び米国の株式マーケットにおける有名人の一人です。
ジェレミー・シーゲルが書いた
「株式投資の未来」(原著「The Future for Investors」)
「株式投資」(原書「Stocks for the Long Run」)
は、長期投資のバイブル本といわれています。
中でも「株式投資の未来」はインデックスもしくは高配当株の長期投資を実践されている方は必読書といってもいいでしょう!
D-I-Vの基本方針
シーゲル流ポートフォリオは長期で高配当バリュー株を中心に積立していき、得られた配当金は再投資に回していくことがポイントです。
インデックス投資を資産形成の中心にすべきという考え方には変わりは無いですが、
「D-I-V」と呼ばれる基本方針に従って運用していけば、より高いリターンを目指せると述べられています。
配当(Dividend)
個別銘柄の選択にあたっては、持続可能なペースでキャッシュフローを生成し、それを配当として株主に還元する銘柄を選ぶ。
シーゲルは株式が高いリターンを産むには配当金(再投資)がいかに大切か、ということを力説しています。
詳しい説明は割愛しますが、配当こそが現在から将来にかけて株主へのキャッシュフローを最大化させる武器だと述べています。
高配当株はたいてい、投資家が収益の見通しに過剰に悲観的になっているため、
結果的に株価が適正水準を下回りますが、高配当を維持する限り、トータルのリターンは平均を上回ると説明しています。
株価の下落は配当利回りの上昇を意味します。
株価が下がれば下がるほど、株主の保有株の積み増しペースが加速し、株価が元に戻れば、得られるリターンに加速装置(アクセル)の魔法が動くとみています。
つまり、高配当銘柄の配当金を再投資することで、
下落相場 ⇒ 高い利回りで積み増すことで損益点が切り下がるため、株価回復時の損益点越えが早くなる。
上昇相場 ⇒ 配当再投資で積み増ししたことにより上昇相場で収益が加速する。
ということになります。
国際(International)
国際のトレンドを認識する。このままいけば、世界経済の均衡が崩れ、中心は米国・欧州・日本から中国・インドをはじめとする発展途上国へとシフトする。
先進国は少子高齢化が進む一方で、インターネットの普及によりグローバル化が進行し、豊富な若い労働資源を武器に世界の経済の中心は中国やインドなどを代表とする東の地域へシフトすると述べられています。
富も東の地域へシフトすることで、
「高齢化が進む先進国の資産は発展途上国の資産家によって買われていくだろう」、とも述べられています。
この現象は決して悲観するべきものではなく、むしろ発展途上国が先進国の人々が持つ資産の受け皿となるとシーゲルは断言しています。
これを「世界的解決」とシーゲルは表現しています。
話は少しそれてしまいましたが、今後ますますグローバル化が進んでいきます。
私たち日本人は日本株に親しみを持ってしまいますが、国内株バイアスに囚われることなく、世界的に事業展開をする企業に投資することを推奨しています。
注意しておきたいのは国際銘柄を選定する上でもグロース株を選ぶなということです。
バリュエーション(Valuation)
成長見通しに対してバリュエーションが適切な株を買い続ける。IPOや人気銘柄(グロース株)は避ける。個別銘柄であれ、業界であれ、市場の大勢が「絶対に買い」と見ているうちは買わない。
本書ではIPOやグロース株は株価の真の価値以上に期待が込められているため、割高になっている傾向が強く、長期投資においては避けるべき銘柄だと述べられています。
シーゲルはグロース株が極端に割高になっている状態を「成長性の罠」と呼んでいます。
反対に、バリュエーションの高い(低PER)
ヘルスケア、生活必需品、エネルギー
以上、3つのセクターを中心に投資する低PER戦略が勧められています。
日本人がシーゲル流のポートフォリオを組むなら
「株式投資の未来」では
- S&P500やMSCIコクサイのインデックス
- D-I-Vのリターン補完戦略(高配当、バリュー株、分散投資等)
以上の2つに半分づつ投資することを推奨しています。
国内のインデックス投資をする場合は、国内株バイアスに囚われることなく、その国が持つ時価総額の割合分を保有することが望ましいとされています。
出典:ブラックロック社より
上の図を参考にすると、日本が世界の時価総額に占める割合は、7.32%なのでTOPIXや日経平均に連動するインデックス投資をする場合はこの比率以上に保有しないほうがいいということですね。
本書をもとに、日本人がシーゲル流のポートフォリオを組むとしたらと仮定した時のポートフォリオの例を考えてみました。
インデックス投資(50%)
- 日本株(TOPIX) 7%
- 米国株(S&P500) 43%
または
- MSCIコクサイ 50%
リターン補完戦略(各10〜15%)
- 米国高配当ETF(SPYD、VYM、HDV)
- 国際分散投資ETF(IOO、DGT)
- セクター戦略(VHT、VDE、VDC)
- 低PER・バリュー戦略(MO、CO、PFE等)、バークシャーハサウェイ(BRK)
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【IOO】シーゲルがおすすめする超優良ETF
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まとめ
アマゾンやグーグルのような超成長株を見つけ出すことも株式の醍醐味と言えますが、素人では(プロでも)そのような銘柄を見つけ出すのは砂漠の中で金を掘り当てるようなものです。
シーゲル流の超長期の配当金再投資を中心としたバリュー株を中心とした投資は素人の私たちができる、収益最大化の方法論と言えることができます。
インデックスとリターン補完戦略を組み合わせた投資手法、あなたも一度試してみてはいかがでしょうか?
今回は以上です。
2020/3/23
mozu